荒れにけりあはれ幾世の宿なれや
住みけむ人の訪れもせぬ
- 歌の意味
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すっかり荒れてしまったことだ。ああ、どれほど長い年月を経た家なのだろうか。住んでいたであろう人の訪れもない。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 984
詞書「題しらず」
荒れ果てた家を見て、かつてここに住んでいた人を思いやり、その家の過ごしてきた長い年月をしのぶ歌である。人の訪れも絶えた住まいに、時の流れと無常を感じ取っている。
本巻の第九百八十一首が里の荒れるのを惜しんだのに対し、この歌はすでに荒れ果てた宿を詠み、次歌の第九百八十五首の荒れた家の琴の音へとつながっている。
作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「荒れにけり」は、すっかり荒れてしまったことだ、の意。「に」は完了、「けり」は詠嘆で、初句切れである。
二句「あはれ幾世の」は、ああ、どれほどの年月を経た、の意。「あはれ」は感動詞である。
三句「宿なれや」は、家なのだろうか、の意。「や」は疑問の係助詞で、結句の連体形「せぬ」と呼応する。
四句「住みけむ人の」は、住んでいたであろう人の、の意。「けむ」は過去推量の助動詞の連体形である。
結句「訪れもせぬ」は、訪れもしない、の意。「ぬ」は打消の助動詞「ず」の連体形で、「や」の結びである。
やど:家、住まい
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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わが庵は都の辰巳しかぞ住む 世をうぢ山と人はいふなり
- 次の歌
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わび人の住むべき宿と見るなへに 嘆き加はる琴の音ぞする