世の中はいづれかさしてわがならむ
行きとまるをぞ宿と定むる
- 歌の意味
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世の中は、どこを指して自分のものと言えるだろうか。行って足をとめた所を、その時の宿と定めるのだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌下 987
詞書「題しらず」
この世には自分のものと定まった場所などなく、行き着いて足をとめた所を宿とするしかないと詠んだ歌である。定住の地を持たない旅人の心に、この世は仮の住まいであるという無常観を重ねている。
次の第九百八十八首、第九百八十九首とともに、行方の定まらない身を詠む歌が続いている。
作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。
初句「世の中は」は、この世の中は、の意。本巻の巻頭の第九百三十三首と同じ初句である。
二句「いづれかさして」は、どこを指して、の意。「か」は疑問の係助詞で、三句の「む」の連体形と呼応する。
三句「わがならむ」は、自分のものとなるだろうか、の意で、三句切れである。
四句「行きとまるをぞ」は、行って足をとめる所を、の意。係助詞「ぞ」は結句の連体形と呼応する。
結句「宿と定むる」は、宿と定める、の意。「定むる」は下二段動詞の連体形で、「ぞ」の結びである。
さす:指し示す、目指す
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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