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風の上にありか定めぬ塵の身は
行方も知らずなりぬべらなり

歌の意味
風に吹かれて居場所の定まらない塵のようなわが身は、どこへ行くとも知れなくなってしまうようだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌下 989

詞書「題しらず」
 風に舞う塵にわが身をたとえ、居場所の定まらないはかない身の行く末を嘆いた歌である。塵という小さく軽いものに身を重ねることで、頼りなさを印象づけている。
 前歌の第九百八十八首と「行方」の語を共有し、本巻の第九百九十六首も「行方も知らぬ」の句を持っている。
 作者は「読人しらず」とされ、名は伝わらない。

 初句「風の上に」は、風に吹かれて、の意である。
 二句「ありか定めぬ」は、居場所の定まらない、の意である。
 三句「塵の身は」は、塵のようなわが身は、の意である。
 四句「行方も知らず」は、行く先もわからず、の意。前歌の四句と対応し、本巻の第九百九十六首の四句「行方も知らぬ」とも同じ語を用いている。
 結句「なりぬべらなり」は、なってしまうようだ、の意。「べらなり」は推量を表す語で、本巻の第九百五十九首と同じ結句である。

ありか:物のある所、居場所
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
相坂の嵐の風は寒けれど 行方知らねばわびつつぞ寝る
次の歌
飛鳥川淵にもあらぬわが宿も せにかはりゆくものにぞありける