いつしかとまたく心をはぎに上げて
天の河原を今日や渡らむ
- 歌の意味
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早く早くとはやる心を、衣の裾のように脛までからげて、彦星は天の河原を今日にも渡るのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十九 雑体 1014
詞書「七月六日七夕の心をよみける」
七夕の前日、七月六日に、逢瀬を待ちきれない彦星の心を詠んだ歌である。はやる心を、川を渡るために衣の裾を脛までからげるように「はぎに上げて」と言った表現に滑稽味がある。七日を待たず、一日早い六日のうちに渡ってしまうのではないかという機知が誹諧の趣となっている。
作者の「藤原かねすけの朝臣」は藤原兼輔である。藤原利基の子で、中納言に至った。賀茂川の堤に邸があったことから堤中納言と呼ばれた。紫式部の曾祖父で、三十六歌仙の一人である。
初句「いつしかと」は、早く早くと待ち望む気持ちを表す。
二句「またく心を」は、「またく」が心がはやる意の動詞で、逢瀬を急ぐ心を言う。
三句「はぎに上げて」は、衣の裾を脛までからげる意で、川を渡る支度を心について言った誹諧的な表現である。字余りである。
四句「天の河原を」は、七夕伝説で彦星が渡る天の川の河原である。
結句「今日や渡らむ」は、「や」が疑問の係助詞、「む」が推量で、係り結びとなる。七日を待たず六日の今日渡るのか、と戯れる。
またく:心がはやる、せく
はぎ:すね
あまのかはら:天の川の河原
- 作者
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藤原兼輔
- 出典
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古今和歌集
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いくばくの田を作ればかほととぎす しでの田長を朝な朝な呼ぶ
- 次の歌
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睦言もまだ尽きなくに明けぬめり いづらは秋の長してふ夜は