秋風にほころびぬらし藤袴
つづりさせてふきりぎりす鳴く
- 歌の意味
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秋風に吹かれて、藤袴がほころびてしまったらしい。「綴り刺せ(繕え)」と、こおろぎが鳴いている。
- 鑑賞
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巻第十九 雑体 1020
詞書「寛平御時后の宮の歌合の歌」
寛平御時后宮歌合で詠まれた歌である。花の藤袴を衣の袴に見立て、秋風で花が開いたのを袴がほころびたと言い、それを繕えとこおろぎが「つづりさせ」と鳴いている、と虫の声を聞きなして戯れている。「きりぎりす」は今のこおろぎで、その声を「肩刺せ、裾刺せ、綴り刺せ」と聞きなす俗言があり、冬支度を促す声とされた。
作者の「在原むねやな」は在原棟梁である。在原業平の子で、左兵衛佐、筑前守などを務めた。
初句「秋風に」は、ほころびの原因を示す。
二句「ほころびぬらし」は、花のつぼみが開く意と、衣の縫い目が解ける意を掛ける掛詞である。「らし」は根拠のある推定で、二句切れである。
三句「藤袴」は、秋の七草の一つで、名に「袴」を含むことから衣に見立てる。
四句「つづりさせてふ」は、「綴り刺せ」が縫い繕えの意で、虫の声の聞きなしである。「てふ」は「といふ」の約である。
結句「きりぎりす鳴く」は、「きりぎりす」が今のこおろぎである。ほころび、藤袴、綴り刺すは衣の縁語となっている。
ほころぶ:花のつぼみが開く意と、衣の縫い目が解ける意を掛ける
つづりさす:ほころびを縫い繕う
きりぎりす:今のこおろぎ
- 作者
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在原棟梁
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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花と見て折らむとすれば女郎花 うたたあるさまの名にこそありけれ
- 次の歌
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冬ながら春の隣の近ければ 中垣よりぞ花は散りける