春霞たなびく野辺の若菜にも
なり見てしかな人も摘むやと
- 歌の意味
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春霞のたなびく野辺の若菜にでもなってみたいものだ。そうすれば、あの人も摘んでくれるかと思って。
- 鑑賞
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巻第十九 雑体 1031
詞書「寛平御時后の宮の歌合の歌」
寛平御時后宮歌合で詠まれた歌である。顧みてくれない相手に、せめて人が摘む若菜になって摘まれてみたいと願う。恋の願望を、若菜に身を変えるという奇抜な発想で表した点が誹諧とされる。
作者の「藤原おきかせ」は藤原興風である。藤原道成の子で、相模掾、下総権大掾などを務めた。琴にも優れ、三十六歌仙の一人である。
初句「春霞」は、二句の「たなびく」の主語で、春の野の情景を描く。
二句「たなびく野辺の」は、霞が横に長くかかる野辺の意である。
三句「若菜にも」は、「も」がせめて〜でも、の意を表す。
四句「なり見てしかな」は、「てしかな」が願望で、なってみたいものだ、の意である。四句切れで、結句と倒置になる。
結句「人も摘むやと」は、「や」が疑問、「と」が理由を表し、あの人も摘むかと思って、の意である。
わかな:春の野に生える食用の若草
たなびく:霞や雲が横に長く引く
- 作者
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藤原興風
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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人に逢はむつきのなきにはおもひおきて 胸はしり火に心焼けをり
- 次の歌
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思へどもなほ疎まれぬ春霞 かからぬ山もあらじと思へば