隠れ沼の下より生ふるねぬなはの
ねぬなは立てじくるな厭ひそ
- 歌の意味
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隠れ沼の底から生えている蓴菜(ねぬなは)ではないが、共寝もしないという噂は立てたくない。私が来るのを嫌がらないでくれ。
- 鑑賞
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巻第十九 雑体 1036
詞書「題しらず」
「ねぬなは(蓴菜)」と「寝ぬ名は」を同音で重ね、蓴菜の縁で手繰る「繰る」と「来る」を掛けて、通って行くのを拒まないでくれと懇願する歌である。同音反復の技巧が誹諧の趣となっている。
作者の「たたみね」は壬生忠岑である。古今和歌集の撰者の一人で、壬生忠見の父である。三十六歌仙の一人である。
初句「隠れ沼の」は、草などに覆われて外から見えない沼である。
二句「下より生ふる」は、沼の底から生える、の意である。
三句「ねぬなはの」は、蓴菜(じゅんさい)である。初句から三句までが、同音の四句「寝ぬ名は」を導く序詞となる。
四句「ねぬなは立てじ」は、「寝ぬ名」が共寝もしないという評判の意で、蓴菜と「寝ぬ名は」を掛ける。「じ」は打消意志である。
結句「くるな厭ひそ」は、「な〜そ」が禁止を表す。「くる」は「来る」と、蓴菜を手繰る「繰る」を掛ける掛詞で、蓴菜の縁語である。
かくれぬ:草などに覆われて外から見えない沼
ねぬなは:蓴菜(じゅんさい)と、「寝ぬ名は(共寝をしないという評判は)」を掛ける
くる:「来る」と、蓴菜を手繰る「繰る」を掛ける
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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蝉の羽のひとへに薄き夏衣 なればよりなむものにやはあらぬ
- 次の歌
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ことならば思はずとやは言ひ果てぬ なぞ世の中の玉だすきなる