古典和歌stream

ことならば思はずとやは言ひ果てぬ
なぞ世の中の玉だすきなる

歌の意味
同じことなら、思っていないとはっきり言い切ってくれないのか。どうして二人の仲が、掛けたり外したりする襷のように、どっちつかずになっているのか。
鑑賞
巻第十九 雑体 1037

詞書「題しらず」
 愛しているとも愛していないともはっきりしない相手の態度を、掛けたり外したりする襷にたとえて責める歌である。男女の仲を身近な襷にたとえた発想に誹諧の趣がある。
 作者は不明で、「よみ人しらず」とされている。

 初句「ことならば」は、同じことなら、どうせなら、の意である。
 二句「思はずとやは」は、「やは」が反語で、思っていないとなぜ言わないのか、の意となる。
 三句「言ひ果てぬ」は、言い切ってしまわないのか、の意で、三句切れである。
 四句「なぞ世の中の」は、「なぞ」がどうして、「世の中」が男女の仲の意である。
 結句「玉だすきなる」は、「玉」が美称で、襷を掛けたり外したりすることから、どっちつかずの関係のたとえとする。

よのなか:男女の仲
たまだすき:襷の美称。ここでは掛けたり外したりする、どっちつかずのさまのたとえ
いひはつ:言い切る
作者
よみ人しらず
出典
古今和歌集
前の歌
隠れ沼の下より生ふるねぬなはの ねぬなは立てじくるな厭ひそ
次の歌
思ふてふ人の心の隈ごとに 立ち隠れつつ見るよしもがな