紅に染めし心も頼まれず
人をあくにはうつるてふなり
- 歌の意味
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紅に深く染めたような一途な心も頼みにならない。紅も灰汁には色が変わるように、人に飽きれば心が移るというのだから。
- 鑑賞
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巻第十九 雑体 1044
詞書「題しらず」
紅染めは灰汁によって色が変わることから、「あく」に「灰汁」と「飽く」、「うつる」に色が変わる意と心変わりを掛け、深い愛情も飽きれば移ろうと嘆く歌である。染色の知識を恋に転じた機知が誹諧の趣となっている。
作者は不明で、「よみ人しらず」とされている。
初句「紅に」は、紅花で染めた濃い赤で、深い恋心のたとえである。
二句「染めし心も」は、紅に深く染めた心も、の意である。
三句「頼まれず」は、「れ」が可能で、頼みにできない、の意である。三句切れである。
四句「人をあくには」は、「飽く」と、染め物の色を変える「灰汁(あく)」を掛ける掛詞である。
結句「うつるてふなり」は、「うつる」が色の変わる「移る」と心変わりの「移る」を掛ける掛詞で、「てふ」と「なり」で伝え聞いた形とする。紅、染め、灰汁、移るは縁語である。
あく:「飽く」と、染め物の色を変える「灰汁(あく)」を掛ける
うつる:色が変わる意と、心が他に移る意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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古今和歌集
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出でて行かむ人をとどめむよしなきに 隣の方に鼻もひぬかな
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厭はるるわが身は春の駒なれや 野飼ひがてらに放ち捨てつる