新しき年の始めにかくしこそ
千年をかねて楽しきを積め
- 歌の意味
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新しい年の始めに、このようにしてこそ、千年先までを見越して楽しいことを積み重ねよ。
- 鑑賞
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巻第二十 大歌所御歌 1069
詞書「大歌所御歌 大直日の歌」
新年の始めにこうして祝い、千年先まで楽しみを積み重ねよと歌う、年頭の寿歌である。元日の節会などで歌われた大直日の歌とされ、古今和歌集の最終巻の巻頭にふさわしい晴れやかな祝いの歌である。作者は記されていない。
大歌所は、宮中の節会や神事で歌われる大歌(宮廷歌謡)を教習し管理した役所である。古今和歌集の巻二十はその歌を集めた巻で、大歌所御歌、神遊びの歌、東歌の順に並ぶ。
詞書に付く注記には「日本紀には、仕へまつらめ万代までに」とあり、日本紀(続日本紀と解される)では下の句が「仕へまつらめ万代までに」となっていることを伝える。続日本紀の天平十四年正月の宴で歌われた歌がこれにあたる。また万葉集の巻末を飾る大伴家持の歌「新しき年の始めの初春の今日降る雪のいやしけ吉事」とも、年頭の吉事の重なりを願う点で通じ合う。
初句「新しき」は、年が改まったばかりであることを示し、祝いの歌の口開けとなる。
二句「年の始めに」は、新年の最初の時を示す。本巻は年頭の歌で始まり、巻末の本巻の第千百首の「万代経とも」へと寿ぎが受け継がれる、巻頭と巻末の呼応をなす。
三句「かくしこそ」は、「かく」に強意の「し」と係助詞「こそ」が付いた形で、このようにしてこそと今の祝宴の様子を強く指し示す。「こそ」は結句の「積め」で結ばれる。三句切れではなく下へ続く。
四句「千年をかねて」は、千年先までをあらかじめ見越しての意である。本巻の第千八十六首の「かねてぞ見ゆる君が千年は」と、「かねて」と「千年」の語を共有して呼応する。
結句「楽しきを積め」は、楽しいことを積み重ねよの意である。「積め」は「こそ」の結びで、已然形と命令形が同形であり、祝宴の人々に呼びかける響きをもつ。
おほなほひ:大直日神にちなむ名で、凶事を吉事に直す意とされる
かぬ:先のことまで見越してあらかじめ思う
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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世を厭ひ木の下ごとに立ち寄りて うつぶし染めの麻の衣なり
- 次の歌
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しもとゆふ葛城山に降る雪の 間なく時なく思ほゆるかな