近江より朝立ち来ればうねの野に
鶴ぞ鳴くなる明けぬこの夜は
- 歌の意味
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近江から朝早く発って来ると、うねの野で鶴が鳴いているのが聞こえる。明けたのだ、この夜は。
- 鑑賞
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巻第二十 大歌所御歌 1071
詞書「大歌所御歌 近江振」
近江を朝立ちして旅を行くと、野に鶴の声が聞こえ、夜が明けたと知る情景を歌う。近江振は近江国の風俗歌で、旅の早朝のすがすがしさを簡素な言葉で伝える。作者は記されていない。
大歌所は、宮中の節会や神事で歌われる大歌(宮廷歌謡)を教習し管理した役所である。古今和歌集の巻二十はその歌を集めた巻で、大歌所御歌、神遊びの歌、東歌の順に並ぶ。
初句「近江より」は、旅の起点を示す。「より」は起点を表す格助詞である。
二句「朝立ち来れば」は、朝早く出発してやって来るとの意で、「ば」は順接の確定条件を表す。
三句「うねの野に」は、鶴の声がする野の名である。近江の地名とされるが所在は明らかでない。
四句「鶴ぞ鳴くなる」は、鶴が鳴いているのが聞こえるの意で、「なる」は音によって判断する推定の助動詞である。係助詞「ぞ」を受けて連体形「なる」で結ぶ。四句切れである。
結句「明けぬこの夜は」は、この夜は明けたのだの意で、「ぬ」は完了の助動詞である。「この夜は明けぬ」を倒置し、夜明けに気づいた驚きを印象づける。
たづ:鶴
あさだつ:朝早く旅立つ
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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しもとゆふ葛城山に降る雪の 間なく時なく思ほゆるかな
- 次の歌
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水茎の岡の屋形に妹とあれと 寝ての朝けの霜の降りはも