陸奥の安達の真弓我が引かば
すゑさへ寄りこ忍び忍びに
- 歌の意味
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陸奥の安達の真弓を私が引くならば、弓の末までもしなって寄るように、行く末までも私に寄り添っておくれ、人目を忍んでそっと。
- 鑑賞
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巻第二十 大歌所御歌 1078
詞書は前の歌に続き「神遊びの歌 採物の歌」
弓を引けば弓の末がしなって寄ってくるように、私が誘えば行く末まで心を寄せてほしいと、ひそかな恋を願う。採物の弓を題とし、弓の形と恋心を重ねた歌である。作者は記されていない。
採物の歌は、神楽で舞人が手に持つ採物(榊、弓、杓、葛など)を題として歌われた神楽歌である。本巻の第千七十四首から第千七十九首までの六首がこの一連をなす。
初句「陸奥の」は、国名で、名産の地を示す。
二句「安達の真弓」は、陸奥国安達で作られた檀(まゆみ)の木の弓で、名品として知られた。採物の弓を示す。
三句「我が引かば」は、私が引くならばの意で、弓を引くことと人の心を引くことを重ねる。「ば」は仮定を表す。
四句「すゑさへ寄りこ」は、「すゑ」に弓の末(上端)と将来の意を掛ける掛詞である。弓の末がしなって寄るように、行く末までも寄って来よと命令形「こ」で呼びかける。「寄る」「引く」「末」は弓の縁語である。
結句「忍び忍びに」は、人目を忍んでそっとの意で、同じ語を重ねてひそやかさを強める。四句の「寄りこ」を修飾する倒置である。
まゆみ:檀の木で作った弓
すゑ:弓の上端の意と、行く末の意を掛ける
よる:近くへ寄る
しのぶ:人目を避けて隠す
- 出典
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古今和歌集
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深山には霰降るらし外山なる まさきのかづら色づきにけり
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我が門の板井の清水里遠み 人し汲まねば水草生ひにけり