美作や久米の佐良山さらさらに
我が名は立てじ万代までに
- 歌の意味
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美作の久米の佐良山の名のように、さらさら決して私の名は立てるまい、万代までも。
- 鑑賞
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巻第二十 大歌所御歌 1083
詞書「神遊びの歌 返し物の歌」
国の山の名を引き出しに、万代までも決して不名誉な名は立てまいと誓う。大嘗会で奉られた歌で、変わらぬ忠誠を誓う寿ぎの心がこめられている。作者は記されていない。
返し物の歌は、神楽の中で調子を変えて歌われた歌をいうとされる。本巻の第千八十一首から第千八十六首までの一連で、第千八十二首以降の五首には、大嘗会で諸国から奉られた歌であることを示す左注が付く。
左注に「これは、水尾の御嘗の美作の国の歌」とあり、水尾の御嘗は水尾帝と呼ばれた清和天皇の大嘗会を指し、美作国が奉った歌である。大嘗会は天皇が即位後に初めて行う新嘗祭で、悠紀、主基に選ばれた国がその国の地名を詠み込んだ歌を奉った。
初句「美作や」は、国名に詠嘆の間投助詞「や」を添え、歌を奉る国を高らかに示す。
二句「久米の佐良山」は、美作国久米郡の山で、現在の岡山県津山市にある。上二句は同音の「さらさらに」を導く序詞である。
三句「さらさらに」は、決して、少しもの意で、下の打消し「じ」と呼応する。「佐良山」と音を重ねる技巧である。
四句「我が名は立てじ」は、私の名は立てるまいの意で、「じ」は打消しの意志を表す。浮き名や悪い評判を立てないことを誓う。
結句「万代までに」は、いつまでもの意で、倒置により誓いの長さを強める。次歌の第千八十四首も同じく「万代までに」で結び、本巻の第千六十九首の注記にある「仕へまつらめ万代までに」とも通う。
なをたつ:うわさや評判が立つ
よろづよ:限りなく長い年月
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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真金吹く吉備の中山帯にせる 細谷川の音のさやけさ
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美濃の国関の藤川絶えずして 君に仕へむ万代までに