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美濃の国関の藤川絶えずして
君に仕へむ万代までに

歌の意味
美濃の国の関の藤川が絶えず流れるように、絶えることなくわが君にお仕えしよう、万代までも。
鑑賞
巻第二十 大歌所御歌 1084

詞書「神遊びの歌 返し物の歌」
 絶えず流れる川にことよせて、わが君に万代まで変わらずお仕えしようと誓う。国の川を詠み込み、治世の永続と忠誠を寿ぐ大嘗会の歌である。作者は記されていない。
 返し物の歌は、神楽の中で調子を変えて歌われた歌をいうとされる。本巻の第千八十一首から第千八十六首までの一連で、第千八十二首以降の五首には、大嘗会で諸国から奉られた歌であることを示す左注が付く。
 左注に「これは、元慶の御嘗の美濃の歌」とあり、元慶の御嘗は陽成天皇の大嘗会を指し、美濃国が奉った歌である。大嘗会は天皇が即位後に初めて行う新嘗祭で、悠紀、主基に選ばれた国がその国の地名を詠み込んだ歌を奉った。

 初句「美濃の国」は、歌を奉る国の名を示す。
 二句「関の藤川」は、美濃国の不破の関のあたりを流れる川である。上二句は「絶えず」を導く序詞である。
 三句「絶えずして」は、絶えることなくの意で、川の流れと仕える心の両方にかかる。
 四句「君に仕へむ」は、わが君にお仕えしようの意で、「む」は意志を表す。四句切れで、忠誠の誓いを明らかにする。
 結句「万代までに」は、いつまでもの意で、前歌の第千八十三首と同じ結句をもつ。本巻の第千六十九首の注記にある「仕へまつらめ万代までに」とも語句が重なる。

せき:関所。ここでは不破の関
つかふ:主君のそば近くで奉仕する
出典
古今和歌集
前の歌
美作や久米の佐良山さらさらに 我が名は立てじ万代までに
次の歌
君が代は限りもあらじ長浜の 真砂の数は読みつくすとも