阿武隈に霧立ち曇り明けぬとも
君をばやらじ待てばすべなし
- 歌の意味
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阿武隈川に霧が立ちこめて夜が明けてしまっても、あなたを帰しはしない。次に来るのを待つのはどうにもつらいから。
- 鑑賞
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巻第二十 大歌所御歌 1087
詞書「東歌 陸奥歌」
夜が明けても恋人を帰すまいと引き止める女の心を歌う。次の訪れを待つつらさを思えば帰したくないという、率直で切実な恋の歌である。作者は記されていない。
陸奥歌は、東歌のうち陸奥国(現在の東北地方)の風俗歌で、本巻の第千八十七首から第千九十三首までの七首がこの一連をなす。宮廷に取り入れられた地方の歌謡である。
初句「阿武隈に」は、陸奥国を流れる阿武隈川を示し、陸奥歌の一連の最初に土地の名を置く。
二句「霧立ち曇り」は、霧が立ちこめてあたりが曇りの意で、夜明けの川辺の情景を示す。
三句「明けぬとも」は、夜が明けてしまってもの意で、「ぬ」は完了、「とも」は逆接の仮定を表す。
四句「君をばやらじ」は、あなたを帰しはしないの意で、「じ」は打消しの意志を表す。四句切れである。
結句「待てばすべなし」は、待つのはどうしようもなくつらいの意で、帰したくない理由を添える。
すべ:手段、方法
やる:行かせる、帰す
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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近江のや鏡の山を立てたれば かねてぞ見ゆる君が千年は
- 次の歌
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陸奥はいづくはあれど塩竈の 浦漕ぐ舟の綱手かなしも