こよろぎの磯たちならし磯菜摘む
めざし濡らすな沖にをれ波
- 歌の意味
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こよろぎの磯を歩きまわって磯菜を摘む少女を濡らすな。沖にとどまっておれ、波よ。
- 鑑賞
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巻第二十 大歌所御歌 1094
詞書「東歌 相模歌」
磯で海藻を摘む少女を気づかい、波に向かって少女を濡らさず沖にとどまれと呼びかける。浜辺の働く少女へのいたわりが、波への命令という素朴な形で表される。作者は記されていない。
東歌は、東国の諸国に伝わる風俗歌が宮廷に取り入れられたもので、国ごとに陸奥歌、相模歌、常陸歌、甲斐歌、伊勢歌の順に並ぶ。
初句「こよろぎの」は、相模国の海岸の名で、現在の神奈川県大磯町あたりとされる。
二句「磯たちならし」は、磯を歩きまわって踏みならしの意で、少女が浜を行き来するさまを示す。
三句「磯菜摘む」は、磯に生える海藻を摘むの意で、二句の「磯」と同じ語を重ねる。
四句「めざし濡らすな」は、少女を濡らすなの意で、「めざし」は前髪を目のあたりで切りそろえた少女の髪型、転じて少女を指す。「な」は禁止を表す。四句切れである。
結句「沖にをれ波」は、沖にとどまっておれ、波よの意で、命令形と呼びかけで波を擬人化する。
たちならす:歩きまわって踏みならす
いそな:磯に生える食用の海藻
めざし:前髪を目のあたりで切りそろえた少女の髪型。また少女
をり:とどまっている
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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君をおきてあだし心を我が持たば 末の松山波も越えなむ
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筑波嶺のこのもかのもにかげはあれど 君がみかげにますかげはなし