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筑波嶺の峰のもみぢ葉落ち積もり
知るも知らぬもなべてかなしも

歌の意味
筑波山の峰のもみじ葉が落ち積もるように、知っている人も知らない人も、みな一様にいとおしいことだ。
鑑賞
巻第二十 大歌所御歌 1096

詞書は前の歌に続き「東歌 常陸歌」
 筑波山の峰に紅葉が分けへだてなく降り積もるように、知る人も知らぬ人もみないとおしいと歌う。人々が集い交わった筑波山の歌垣を思わせる、おおらかな親しみの歌である。作者は記されていない。
 東歌は、東国の諸国に伝わる風俗歌が宮廷に取り入れられたもので、国ごとに陸奥歌、相模歌、常陸歌、甲斐歌、伊勢歌の順に並ぶ。

 初句「筑波嶺の」は、前歌の第千九十五首と同じ初句で、常陸歌の二首をそろえる。
 二句「峰のもみぢ葉」は、峰に色づいた木の葉を示す。
 三句「落ち積もり」は、落ちて積もりの意で、分けへだてなく重なる紅葉を人々の集まりに重ねる比喩となる。
 四句「知るも知らぬも」は、知っている人も知らない人もの意で、対になる語を並べてすべての人を示す。
 結句「なべてかなしも」は、みな一様にいとおしいことだの意で、「かなし」はいとしい、「も」は詠嘆を表す。本巻の第千八十八首の「綱手かなしも」と同じく「かなしも」で結ぶ。

なべて:すべて、一様に
うたがき:男女が集まって歌を掛け合う行事
出典
古今和歌集
前の歌
筑波嶺のこのもかのもにかげはあれど 君がみかげにますかげはなし
次の歌
甲斐が嶺をさやにも見しかけけれなく 横ほり臥せる小夜の中山