をふの浦に片枝さしおほひなる梨の
なりもならずも寝て語らはむ
- 歌の意味
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をふの浦に片枝をさしかけて実る梨ではないが、事がなってもならなくても、まずは共寝をして語り合おう。
- 鑑賞
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巻第二十 大歌所御歌 1099
詞書「東歌 伊勢歌」
浜辺に枝を伸ばして実る梨にことよせ、恋が成就してもしなくても、まずは寄り添って語り合おうと誘う。梨の「なる」から恋の「なる」を導く、軽快な民謡らしい歌である。作者は記されていない。
東歌は、東国の諸国に伝わる風俗歌が宮廷に取り入れられたもので、国ごとに陸奥歌、相模歌、常陸歌、甲斐歌、伊勢歌の順に並ぶ。
初句「をふの浦に」は、伊勢国の浦の名で、所在には諸説がある。初句は字余りである。
二句「片枝さしおほひ」は、片方の枝を浦の上にさしかけて覆いの意で、梨の木のさまを示す。二句は字余りである。
三句「なる梨の」までの上の句は、「なりもならずも」を導く序詞である。「なる」は実がなる意で、四句の「なり」と響き合う。
四句「なりもならずも」は、「なる」に梨の実がなる意と恋が成就する意を掛ける掛詞である。成っても成らなくてもの意となる。
結句「寝て語らはむ」は、共寝をして語り合おうの意で、「む」は勧誘を表す。本巻の第千七十二首の「寝ての朝けの」と同じく共寝を率直に詠む。
かたえ:一方の枝
なる:実がなる意と、事が成就する意を掛ける
かたらふ:親しく語り合う。男女が契りを結ぶ
- 出典
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古今和歌集
- 前の歌
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甲斐が嶺を嶺越し山越し吹く風を 人にもがもや言伝てやらむ
- 次の歌
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ちはやぶる賀茂の社の姫小松 万代経とも色は変はらじ