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藤原の大宮仕へ生れ付くや
娘子がともは羨しきろかも

歌の意味
藤原の宮に仕えるために生まれついた乙女たちは、なんとうらやましいことだろう。
鑑賞
巻第一 雑歌 53

詞書は前の歌に続き「藤原宮の御井の歌 短歌」
 藤原の宮に仕えるために生まれてきた乙女たちは、なんとうらやましいことかと詠む短歌である。長歌では藤原宮の四方の山々と清らかな御井の水をたたえており、短歌はそれを受けて、この宮に仕える女性たちの幸せを通して宮の繁栄をたたえている。
 作者は左注に「作者未詳」とあり、明らかでない。宮廷の儀礼にかかわる歌人の作と考えられている。

 初句「藤原の」は、持統天皇が造営した藤原宮を指し、長歌の舞台を受けている。
 二句「大宮仕へ」は、宮廷に仕えることの意で、宮にお仕えすることの名誉を示している。
 三句「生れ付くや」は、「生れ付く」がその運命のもとに生まれるの意、「や」が詠嘆の間投助詞である。宮仕えのために生まれてきたかのような乙女たちの幸運をたたえている。
 四句「娘子がともは」は、「とも」が仲間、一団の意で、乙女たちの一団はの意である。御井の水を汲むなどして宮に仕える若い女性たちを指すとされる。
 結句「羨しきろかも」は、「羨し」がうらやましいの意、「ろ」が接尾語、「かも」が詠嘆の終助詞で、うらやましいことだの意である。乙女たちへの羨望を通して、藤原宮の栄えをたたえて一首を結んでいる。

おほみやづかへ:宮廷に仕えること
あれつく:その宿命をもって生まれつく
とも:仲間、一団
出典
万葉集
前の歌
采女の袖吹きかへす明日香風 都を遠みいたづらに吹く
次の歌
巨勢山のつらつら椿つらつらに 見つつ偲はな巨勢の春野を