- 歌の意味
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いとしい妻に早く会いたいと思わせる、速く吹く浜風よ。大和で私を待っている松や椿に、決して吹き忘れることのないように。
- 鑑賞
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巻第一 雑歌 73
詞書は前の歌に続き「大行天皇の難波の宮に幸す時の歌、長皇子の御歌」
難波の浜に吹く速い風に向かって、大和で自分の帰りを待っている松や椿に吹いて、妻のもとへ思いを届けておくれと呼びかける歌である。「早見」に早く見たいの意を、「松」に待つの意を掛け、掛詞を重ねて妻への思いを巧みに表している。
作者の長皇子は、天武天皇の皇子で、母は天智天皇の皇女の大江皇女である。同母弟に弓削皇子がいる。機知と風格を備えた歌を残している。
初句「我妹子を」は、いとしい妻をの意で、二句の「早見」の「見」の目的語となっている。
二句「早見浜風」は、「早み」が速いの意で、速く吹く浜風の意である。「我妹子を早見」で、妻を早く見たいの意を掛けている。本巻の第四十四首の「我妹子をいざ見の山」と同じく、「我妹子を〜見」の形で、景物に妻への思いを掛ける趣向である。
三句「大和なる」は、大和にいるの意で、「なる」は存在を表す助動詞「なり」の連体形である。
四句「我を松椿」は、「松」に「待つ」を掛け、私を待っている松や椿にの意である。松と椿は大和の家の庭の木とみられ、妻の姿を重ねている。
結句「吹かざるなゆめ」は、「な」が禁止、「ゆめ」が決しての意で、吹かないことが決してないように、必ず吹けの意である。否定を重ねることで、妻のもとへ思いを届けてほしいという願いを強めている。
わぎもこ:男性が妻や恋人を親しんで呼ぶ語
はまかぜ:浜辺に吹く風
まつ:松の木と、人を待つ意を掛ける
- 作者
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長皇子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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玉藻刈る沖へは漕がじ敷栲の 枕のあたり忘れかねつも
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み吉野の山のあらしの寒けくに はたや今夜も我が独り寝む