妹が家も継ぎて見ましを大和なる
大島の嶺に家もあらましを
- 歌の意味
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あなたの家だけでもいつも見ていられたらよいのに。大和の大島の嶺に私の家があったらよいのに。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 91
詞書「天皇、鏡王女に賜ふ御歌一首」
恋しい女性の家をいつも見ていたい、そのために大島の嶺に自分の家があればよいのにと願う一首である。「ましを」を二度くり返して、かなわない願いを重ねている。
標目に「近江大津宮に天の下知らしめす天皇の代」とあり、天智天皇が鏡王女に贈った歌である。近江の都から大和にいる鏡王女を思う位置関係が読み取れる。
作者の天智天皇は、舒明天皇の皇子で、中大兄皇子として大化の改新を進め、近江大津宮で即位した。
本文には異伝の注記が二つあり、初句と二句を「妹があたり継ぎても見むに」、結句を「家居らましを」とする本がある。ここでは本行の形に従う。
初句「妹が家も」の「妹」は男性が親しい女性を呼ぶ語で、ここでは鏡王女を指す。「も」はせめて家だけでもの意を含む。
二句「継ぎて見ましを」の「継ぎて」は絶えず続けての意、「まし」は反実仮想、「を」は詠嘆である。見ることができない現実を裏に含む。
三句「大和なる」の「なる」は存在を表し、大和にあるの意である。
四句「大島の嶺に」の大島の嶺は所在未詳であるが、鏡王女の家を見下ろせる山と考えられている。
結句「家もあらましを」は二句と同じく「ましを」で結び、願いを重ねる。初句の「妹が家」と結句の「家」が対応し、二つの家を結ぼうとする構図になっている。
いも:男性が親しい女性を呼ぶ語
ね:山の頂、峰
- 作者
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天智天皇
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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君が行き日長くなりぬ山たづの 迎へを行かむ待つには待たじ
- 次の歌
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秋山の木の下隠り行く水の 我れこそ益さめ御思ひよりは