玉櫛笥みむろの山のさな葛
さ寝ずはつひに有りかつましじ
- 歌の意味
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三室の山のさなかずらの名のように、あなたと共寝をしないでは、とうとう生きてはいられないだろう。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 94
詞書「内大臣藤原卿、鏡王女に報へ贈る歌一首」
鏡王女の歌に応えて、共寝をしなければ生きていられないと、率直な思いを返した一首である。
夜明けの別れを案じた前歌に対し、同じ「玉櫛笥」で歌い起こして切り返しており、贈答の妙が味わえる。
作者の藤原鎌足は、中臣鎌足ともいい、中大兄皇子とともに大化の改新を進めた人物である。天智天皇のもとで内大臣となり、死の直前に藤原の姓を賜った。
本文には異伝の注記があり、初句と二句を「玉くしげ三室戸山の」とする本がある。ここでは本行に従う。
初句「玉櫛笥」は前歌の初句をそのまま受けたもので、ここでは箱の身の音から「みむろ」を導くとされる。
二句「みむろの山の」は神の降りる山の意で、三輪山などを指すとされる。
三句「さな葛」はさねかずらのことで、ここまでが序詞となり、同音の「さ寝」を導く。つるが絡み合うさまも共寝を思わせる。
四句「さ寝ずはつひに」の「さ」は接頭語、「ずは」は〜しないではの意、「つひに」は結局の意である。
結句「有りかつましじ」の「かつ」は〜できるの意、「ましじ」は打消推量で、生きていることはできないだろうと結ぶ。
さなかづら:さねかずら。つる性の植物
さぬ:共寝をする。「さ」は接頭語
ありかつ:生きながらえることができる
- 作者
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藤原鎌足
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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玉櫛笥覆ふを安み明けていなば 君が名はあれど吾が名し惜しも
- 次の歌
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我れはもや安見児得たり皆人の 得かてにすとふ安見児得たり