梓弓引かばまにまに寄らめども
後の心を知りかてぬかも
- 歌の意味
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梓弓を引けば寄ってくるように、あなたが引くならそのままに寄りもしようが、この先のあなたの心が分からないことだ。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 98
詞書は前の歌に続き「久米禅師、石川郎女を娉ふ時の歌五首」
誘われれば従いもしようが、後になって心が変わるかどうかが気がかりだと、本心を明かした一首である。
詞書によれば、久米禅師が石川郎女に求婚したときの歌五首で、歌の末尾に付された「禅師」「郎女」の小注によって詠み手が示される。一連は弓にちなむ言葉で男女が問答を交わす形で、禅師の問い、郎女の二首の答え、禅師の二首の答えと続く。本歌はその三首目で、末尾の「郎女」の小注は歌の本文から除いた。
作者の石川郎女は、伝未詳の女性である。万葉集には石川郎女、石川女郎と呼ばれる女性が何人も現れ、同一人物かどうかは定まっていない。
初句「梓弓」は梓の木で作った弓で、「引く」にかかる枕詞である。次歌の第九十九首も同じ初句で始まる。
二句「引かばまにまに」は、引くならば引くままにの意である。
三句「寄らめども」の「め」は推量の助動詞「む」の已然形、「ども」は逆接で、寄りもしようがの意。弓を引くと両端が寄る様子を重ねている。
四句「後の心を」は、この先の相手の心の意である。次歌の四句も同じ「後の心を」で、禅師がこの言葉を受けて答えている。
結句「知りかてぬかも」の「かてぬ」は〜できないの意、「かも」は詠嘆で、分からないことだと結ぶ。
あづさゆみ:梓の木で作った弓
よる:近寄る、身を寄せる
- 作者
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石川郎女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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み薦刈る信濃の真弓引かずして 強ひさるわざを知ると言はなくに
- 次の歌
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梓弓弦緒取りはけ引く人は 後の心を知る人ぞ引く