- 歌の意味
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梓弓に弦をしっかりかけて引く人は、後々の心まで知っている人だからこそ引くのだ。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 99
詞書は前の歌に続き「久米禅師、石川郎女を娉ふ時の歌五首」
後の心が分からないという郎女の不安に対し、弓に弦をかけて引く者は先々のことまで心得たうえで引くのだと、誠実さを請け合った一首である。
詞書によれば、久米禅師が石川郎女に求婚したときの歌五首で、歌の末尾に付された「禅師」「郎女」の小注によって詠み手が示される。一連は弓にちなむ言葉で男女が問答を交わす形で、禅師の問い、郎女の二首の答え、禅師の二首の答えと続く。本歌はその四首目で、末尾の「禅師」の小注は歌の本文から除いた。
作者の久米禅師は、伝未詳の人物である。禅師は仏道の修行を積んだ僧を呼ぶ称である。
初句「梓弓」は前歌と同じ初句で、郎女の言葉を受け継いで答える。
二句「弦緒取りはけ」の「弦緒」は弓の弦、「はく」は弦を弓にかける意で、しっかり準備を整えるさまを示す。
三句「引く人は」は、弓を引く人と女性を誘う人とを重ねている。
四句「後の心を」は前歌の四句をそのまま用いて答えたもので、贈答の呼応がはっきり表れている。
結句「知る人ぞ引く」の「ぞ」は係助詞で、連体形「引く」で結ぶ係り結びである。三句の「引く」を結句でくり返し、確信を込めて言い切る。
つらを:弓の弦
はく:弓に弦をかける
- 作者
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久米禅師
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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梓弓引かばまにまに寄らめども 後の心を知りかてぬかも
- 次の歌
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東人の荷前の箱の荷の緒にも 妹は心に乗りにけるかも