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玉葛実ならぬ木にはちはやぶる
神ぞつくといふならぬ木ごとに

歌の意味
実のならない木には恐ろしい神がとりつくというぞ。実のならない木にはどれにでも。
鑑賞
巻第二 相聞 101

詞書「大伴宿禰、巨勢郎女を娉ふ時の歌一首」
 実のならない木には神がとりつくと言い、恋を実らせない女性には恐ろしい神がつくぞと、脅すようにして求婚した一首である。
 詞書によれば、大伴宿禰が巨勢郎女に求婚したときの歌である。詞書の注に、大伴宿禰の名は安麻呂で、難波朝の右大臣大伴長徳の第六子であり、平城朝に大納言兼大将軍となって亡くなったとある。
 作者の大伴安麻呂は、大伴長徳の子で、大納言兼大将軍まで昇った。大伴旅人の父で、佐保大納言とも呼ばれた。

 初句「玉葛」は美しいかずらで、「実」にかかる枕詞である。次歌の第百二首の巨勢郎女の歌も同じ初句で答えている。
 二句「実ならぬ木には」は、実のならない木にはの意で、恋を実らせない女性をたとえる。
 三句「ちはやぶる」は「神」にかかる枕詞である。
 四句「神ぞつくといふ」の「ぞ」は係助詞で、連体形「いふ」で結ぶ係り結びである。四句切れとなる。
 結句「ならぬ木ごとに」は二句の「ならぬ木」をくり返し、倒置によって脅しを念押しする。

たまかづら:美しいかずら、つる草
つく:神などが乗り移る、とりつく
作者
大伴安麻呂
出典
万葉集
前の歌
東人の荷前の箱の荷の緒にも 妹は心に乗りにけるかも
次の歌
玉葛花のみ咲きてならずあるは 誰が恋にあらめ我れ恋ひ思ふを