我が里に大雪降れり大原の
古りにし里に降らまくは後
- 歌の意味
-
私の里には大雪が降ったぞ。あなたのいる大原の古びた里に降るのは、もっと後のことだろう。
- 鑑賞
-
巻第二 相聞 103
詞書「天皇、藤原夫人に賜ふ御歌一首」
大雪が降ったことを誇らしげに告げ、あなたのいる古びた大原の里に降るのはもっと後だろうと、からかうように贈った一首である。
標目に「明日香清御原宮に天の下知らしめす天皇の代」とあり、天武天皇が藤原夫人に贈った歌である。大原は宮からほど近く、同じ雪が降らないはずはない距離であることが戯れの前提となっている。
作者の天武天皇は、舒明天皇の皇子で、天智天皇の弟である。壬申の乱に勝って飛鳥浄御原宮で即位した。
初句「我が里に」は、天皇の住む飛鳥浄御原宮のあたりを指す。
二句「大雪降れり」の「り」は完了、存続の助動詞で、大雪が降ったと誇らしげに告げる。二句切れである。
三句「大原の」の大原は飛鳥の地名で、藤原夫人の里とされる。
四句「古りにし里に」は、古びてしまった里にの意で、「降り」と「古り」の音を響かせている。
結句「降らまくは後」の「まく」は推量の助動詞「む」のク語法で、降るだろうことはの意。名詞「後」で結ぶ体言止めで、そちらはあとだと軽くからかう。
おほはら:飛鳥の地名。藤原氏ゆかりの地
ふる:古くなる、年を経る
- 作者
-
天武天皇
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
玉葛花のみ咲きてならずあるは 誰が恋にあらめ我れ恋ひ思ふを
- 次の歌
-
我が岡のおかみに言ひて降らしめし 雪のくだけしそこに散りけむ