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我が岡のおかみに言ひて降らしめし
雪のくだけしそこに散りけむ

歌の意味
私の岡の竜神に言いつけて降らせた雪のかけらが、そちらに散ったのだろう。
鑑賞
巻第二 相聞 104

詞書「藤原夫人、和へ奉る歌一首」
 大雪を誇った天皇の歌に対し、それは私が岡の竜神に頼んで降らせた雪のかけらがそちらへ散ったのだろうと、機知で切り返した一首である。
 天皇の「大雪」を「くだけ」と言い、自分の里こそ雪の源だと言い返すもので、大と小、源と末という反転した構図によるやりとりになっている。
 作者の藤原五百重娘は、藤原鎌足の娘で、天武天皇の夫人となった。詞書では藤原夫人と記され、大原大刀自とも呼ばれた。

 初句「我が岡の」は、夫人の住む大原の岡を指す。
 二句「おかみに言ひて」の「おかみ」は雨や雪をつかさどる竜神である。岡と「おかみ」の音が響き合っている。
 三句「降らしめし」の「しめ」は使役の助動詞で、降らせたの意である。
 四句「雪のくだけし」は、雪のかけらがの意で、前歌の「大雪」を小さなかけらと言い換えている。
 結句「そこに散りけむ」の「けむ」は過去推量で、そちらに散ったのだろうと結ぶ。前歌の「降らまくは後」に対し、先に降ったのはこちらだと応じている。

おかみ:雨や雪をつかさどる竜神
くだけ:砕けたもの、かけら
作者
藤原五百重娘
出典
万葉集
前の歌
我が里に大雪降れり大原の 古りにし里に降らまくは後
次の歌
我が背子を大和へ遣るとさ夜更けて 暁露に我れ立ち濡れし