吉野川行く瀬の早みしましくも
淀むことなくありこせぬかも
- 歌の意味
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吉野川の流れる瀬が速いように、わずかの間も淀むことなく、私たちの仲が続いてくれないものか。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 119
詞書「弓削皇子、紀皇女を思ふ御歌四首」
吉野川の早瀬に寄せて、二人の仲が少しも滞ることなく続いてほしいと願った一首である。
詞書によれば、弓削皇子が紀皇女を思って作った四首である。紀皇女は天武天皇の皇女で、皇子の異母姉妹にあたる。一連は、恋が滞りなく続いてほしいという願い、恋の苦しさに花のように散りたいという嘆き、機を逃さず恋を遂げたいという思い、恋やつれの嘆きと続く。本歌はその一首目である。
作者の弓削皇子は、天武天皇の皇子で、母は天智天皇の皇女の大江皇女である。長皇子の同母弟にあたる。
初句「吉野川」は、大和の吉野を流れる川で、流れの速い清らかな川として知られる。
二句「行く瀬の早み」は「〜を〜み」の「を」を略した形で、流れる瀬が速いのでの意。初句からここまでが序詞となり、「淀むことなく」を導く。
三句「しましくも」は、しばらくの間もの意である。
四句「淀むことなく」は、水が滞ることなくの意で、恋の仲がとどこおることにたとえている。
結句「ありこせぬかも」の「こせ」は願望の助動詞「こす」の未然形、「ぬかも」は打消を用いた願望の表現で、あってくれないものかと願う。
せ:川の浅く流れの速いところ
よどむ:水の流れがとどこおる
- 作者
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弓削皇子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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嘆きつつますらをのこの恋ふれこそ 我が髪結ひの漬ちてぬれけれ
- 次の歌
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我妹子に恋ひつつあらずは秋萩の 咲きて散りぬる花にあらましを