我妹子に恋ひつつあらずは秋萩の
咲きて散りぬる花にあらましを
- 歌の意味
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いとしいあなたに恋い続けているくらいなら、秋萩の、咲いてはすぐ散ってしまう花であればよかったのに。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 120
詞書は前の歌に続き「弓削皇子、紀皇女を思ふ御歌四首」
恋い続ける苦しさよりも、咲いてはすぐに散る秋萩の花のように、はかなく消えてしまいたいと嘆いた一首である。
詞書によれば、弓削皇子が紀皇女を思って作った四首である。紀皇女は天武天皇の皇女で、皇子の異母姉妹にあたる。一連は、恋が滞りなく続いてほしいという願い、恋の苦しさに花のように散りたいという嘆き、機を逃さず恋を遂げたいという思い、恋やつれの嘆きと続く。本歌はその二首目で、作者は一連の詞書による。
作者の弓削皇子は、天武天皇の皇子で、母は天智天皇の皇女の大江皇女である。長皇子の同母弟にあたる。
初句「我妹子に」は、いとしいあなたにの意で、紀皇女を指す。
二句「恋ひつつあらずは」は、恋い続けているくらいならの意で、本巻の第八十六首の磐姫皇后の歌、第百十五首の但馬皇女の歌と同じ言い回しである。
三句「秋萩の」は、秋に咲く萩のの意である。
四句「咲きて散りぬる」の「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で、咲いてすぐに散ってしまうの意。命のはかなさを表す。
結句「花にあらましを」の「まし」は反実仮想で、花であればよかったのにと嘆く。本巻の第八十六首の「死なましものを」と同じく、恋の苦しみを消えることと比べている。
わぎもこ:男性が親しい女性を呼ぶ語
あきはぎ:秋に咲く萩の花
- 作者
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弓削皇子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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吉野川行く瀬の早みしましくも 淀むことなくありこせぬかも
- 次の歌
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夕さらば潮満ち来なむ住吉の 浅香の浦に玉藻刈りてな