大船の泊つる泊りのたゆたひに
物思ひ痩せぬ人の子故に
- 歌の意味
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大船が停泊する港で揺れ動くように心が揺れて、物思いに痩せてしまった。手の届かない人の子のために。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 122
詞書は前の歌に続き「弓削皇子、紀皇女を思ふ御歌四首」
港に泊まる大船が波に揺れ動くように、心が定まらずに思い悩み、痩せてしまったと嘆いた一首である。手の届かない相手ゆえの恋やつれを詠んで一連を結ぶ。
詞書によれば、弓削皇子が紀皇女を思って作った四首である。紀皇女は天武天皇の皇女で、皇子の異母姉妹にあたる。一連は、恋が滞りなく続いてほしいという願い、恋の苦しさに花のように散りたいという嘆き、機を逃さず恋を遂げたいという思い、恋やつれの嘆きと続く。本歌はその四首目で、作者は一連の詞書による。
作者の弓削皇子は、天武天皇の皇子で、母は天智天皇の皇女の大江皇女である。長皇子の同母弟にあたる。
初句「大船の」は、本巻の第百九首の大津皇子の歌の初句と同じである。
二句「泊つる泊りの」は、停泊する港のの意である。
三句「たゆたひに」までが序詞で、船が波に揺れ動くさまから、心の揺れを導く。
四句「物思ひ痩せぬ」の「ぬ」は完了で、思い悩んで痩せてしまったの意。四句切れである。
結句「人の子故に」は、他人の大切な娘のためにの意で、自分のものにならない相手を示す。倒置によって恋の相手を最後に示している。
とまり:船が停泊する所、港
たゆたふ:ゆらゆら揺れ動く、心が定まらずためらう
ひとのこ:他人の子。手の届かない相手をいう
- 作者
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弓削皇子
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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夕さらば潮満ち来なむ住吉の 浅香の浦に玉藻刈りてな
- 次の歌
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たけばぬれたかねば長き妹が髪 このころ見ぬに掻き入れつらむか