たけばぬれたかねば長き妹が髪
このころ見ぬに掻き入れつらむか
- 歌の意味
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束ねて上げればほどけ、上げなければ長すぎる妻の髪は、このごろ会わないうちに、もう結い上げてしまっただろうか。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 123
詞書「三方沙弥、園臣生羽が女を娶りて、いまだ幾時も経ねば病に臥して作る歌三首」
病に臥して会えない間に、妻が長い髪をもう結い上げてしまっただろうかと、若い妻の姿を思いやった一首である。髪を結い上げることは成人した女性、妻となった女性のしるしとされた。
詞書によれば、三方沙弥が園臣生羽の娘を妻に迎えて間もなく病に臥したときの歌三首で、歌の末尾の「三方沙弥」「娘子」の小注によって詠み手が示される。夫の問い、妻の答え、夫の嘆きと続く贈答の一連である。本歌はその一首目で、末尾の「三方沙弥」の小注は歌の本文から除いた。
作者の三方沙弥は、伝未詳の人物である。沙弥は出家して間もない僧の称で、のちに還俗して山田御方となった人物とする説がある。
初句「たけばぬれ」の「たく」は髪を束ねて上げる意、「ぬる」は結った髪がほどける意である。次歌の第百二十四首も「たけ」の語で応じている。
二句「たかねば長き」は、上げなければ長すぎるの意で、初句と対をなし、結い上げるにはまだ少し短い髪の様子を表す。
三句「妹が髪」は、妻の髪の意である。
四句「このころ見ぬに」は、このごろ会わない間にの意で、病に臥して会えないことを示す。
結句「掻き入れつらむか」の「掻き入る」は髪を掻き上げて結い込む意、「つらむ」は完了と現在推量、「か」は疑問で、もう結い上げてしまっただろうかと思いやる。
たく:髪を束ねて結い上げる
ぬる:結った髪がほどける
かきいる:髪を掻き上げて結い込む
- 作者
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三方沙弥
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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大船の泊つる泊りのたゆたひに 物思ひ痩せぬ人の子故に
- 次の歌
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人皆は今は長しとたけと言へど 君が見し髪乱れたりとも