人皆は今は長しとたけと言へど
君が見し髪乱れたりとも
- 歌の意味
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人は皆、今はもう長いから結い上げよと言うけれど、あなたが見たこの髪だから、たとえ乱れていても、このままにしておこう。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 124
詞書は前の歌に続き「三方沙弥、園臣生羽が女を娶りて、いまだ幾時も経ねば病に臥して作る歌三首」
周りの人は長くなったから結い上げよと言うが、あなたが見た髪だから乱れていてもこのままにしておくと答え、夫への変わらない心を示した一首である。
詞書によれば、三方沙弥が園臣生羽の娘を妻に迎えて間もなく病に臥したときの歌三首で、歌の末尾の「三方沙弥」「娘子」の小注によって詠み手が示される。夫の問い、妻の答え、夫の嘆きと続く贈答の一連である。本歌はその二首目で、末尾の「娘子」の小注によって妻の歌であることが示される。小注は歌の本文から除いた。
作者の園臣生羽の娘は、名の伝わらない女性で、三方沙弥の妻である。父の園臣生羽も伝未詳である。
初句「人皆は」は、周りの人々はみなの意である。
二句「今は長しと」は、今はもう長くなったとの意で、前歌の「長き」を受けている。
三句「たけと言へど」の「たけ」は「たく」の命令形で、結い上げよと言うけれどの意。前歌の「たけば」を受けて答えている。
四句「君が見し髪」は、あなたが見た髪の意で、夫との思い出の残る髪として大切にする心を表す。
結句「乱れたりとも」の「とも」は逆接の仮定で、乱れていてもの意。このままにしておこうという言葉が言外に込められている。
たく:髪を束ねて結い上げる
- 作者
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園臣生羽の娘
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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たけばぬれたかねば長き妹が髪 このころ見ぬに掻き入れつらむか
- 次の歌
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橘の蔭踏む道の八衢に 物をぞ思ふ妹に逢はずして