古りにし嫗にしてやかくばかり
恋に沈まむ手童のごと
- 歌の意味
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年老いた女の身でありながら、これほどまでに恋に沈むものだろうか。まるで幼い子どものように。
- 鑑賞
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巻第二 相聞 129
詞書「大津皇子の宮の侍石川女郎、大伴宿禰宿奈麻呂に贈る歌一首」
年老いた身でありながら、幼い子どものように恋に沈んでしまうものかと、自らを省みつつ恋心を打ち明けた一首である。
詞書によれば、大津皇子の宮に仕えた石川女郎が大伴宿奈麻呂に贈った歌である。詞書の注に、女郎の字を山田郎女といい、宿奈麻呂は大納言兼大将軍卿の第三子とある。
作者の石川女郎は、詞書の注によれば字を山田郎女といい、大津皇子の宮に仕えた女性である。
本文には異伝の注記があり、三句と四句を「恋をだに忍びかねてむ」とする本がある。ここでは本行に従う。
初句「古りにし」は、年老いてしまったの意で、四音の字足らずである。
二句「嫗にしてや」の「嫗」は年老いた女、「や」は反語の係助詞で、四句の連体形「む」で結ぶ係り結びである。
三句「かくばかり」は、これほどまでにの意である。
四句「恋に沈まむ」は、恋に沈むものだろうかの意で、二句の「や」を受けて結ぶ。
結句「手童のごと」は、手に抱かれる幼い子どものようにの意で、倒置によって、初句の老いと対比させながら恋に溺れる姿を印象づける。
おみな:年老いた女
たわらは:手に抱かれるような幼い子ども
- 作者
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石川女郎
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が聞きし耳によく似る葦の末の 足ひく我が背つとめ給ぶべし
- 次の歌
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丹生の川瀬は渡らずてゆくゆくと 恋痛し我が背いで通ひ来ね