人はよし思ひやむとも玉葛
影に見えつつ忘らえぬかも
- 歌の意味
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ほかの人はたとえ思い慕うのをやめても、私には面影に見え続けて、忘れることができない。
- 鑑賞
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巻第二 挽歌 149
詞書「天皇崩りましし後の時に、倭大后の作らす御歌一首」
天皇が亡くなったのち、ほかの人々はやがて思い慕うのをやめても、自分には面影が見え続けて忘れられないと詠んだ一首である。
詞書によれば、天智天皇の崩御ののちに倭大后が作った歌である。病の祈り、魂の気配、崩御後の追慕と、大后の三首が時を追って並べられている。
作者の倭姫王は、天智天皇の皇后で、舒明天皇の皇子の古人大兄皇子の娘である。詞書では大后、倭大后と記される。
初句「人はよし」の「よし」はたとえの意で、ほかの人はたとえの意である。
二句「思ひやむとも」の「とも」は逆接の仮定で、思い慕うのをやめてもの意である。
三句「玉葛」は、つる草を髪飾りとしたかげの意から、「影」にかかる枕詞である。本巻の第百一首と第百二首では求婚の贈答に用いられており、恋の歌と亡き人を慕う歌で同じ語が対照的に使われている。
四句「影に見えつつ」は、面影に見え続けての意である。
結句「忘らえぬかも」の「え」は可能、「ぬ」は打消、「かも」は詠嘆で、忘れることができないと結ぶ。
たまかづら:美しいかずら。ここでは「影」にかかる枕詞
かげ:面影、姿
- 作者
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倭姫王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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青旗の木幡の上を通ふとは 目には見れども直に逢はぬかも
- 次の歌
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かからむとかねて知りせば大御船 泊てし泊りに標結はましを