かからむとかねて知りせば大御船
泊てし泊りに標結はましを
- 歌の意味
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こうなるだろうと前もって知っていたなら、大君の御船が泊まった港に、標縄を張っておくのだったのに。
- 鑑賞
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巻第二 挽歌 151
詞書「天皇の大殯の時の歌二首」
天智天皇の崩御を悼み、こうなると前もって知っていたなら、御船の泊まった港に標縄を張って御魂をとどめておいたのにと悔やんだ一首である。
詞書によれば、天智天皇の遺体を葬るまで安置する大殯の時の歌二首の一首目で、末尾の「額田王」の小注によって作者が示される。小注は歌の本文から除いた。
作者の額田王は、鏡王の娘とされ、はじめ大海人皇子に愛されて十市皇女を生んだ。のちに天智天皇に仕えたとされ、万葉集の初期を代表する女性歌人である。
初句「かからむと」は、このようになるだろうとの意である。
二句「かねて知りせば」の「せ」は過去の助動詞「き」の未然形で、「せば〜まし」の形で反実仮想を表す。前もって知っていたならばの意である。
三句「大御船」は天皇の乗る船で、次歌の三句も同じ「大御船」である。
四句「泊てし泊りに」は、停泊した港にの意である。本巻の第百二十二首の弓削皇子の歌にも「泊つる泊り」とある。
結句「標結はましを」の「まし」は反実仮想で、標縄を張っておけばよかったのにと悔やむ。本巻の第百十五首の但馬皇女の歌の「標結へ我が背」と響き合い、恋人を追う標と亡き天皇をとどめる標という対をなしている。
おほみふね:天皇の乗る船
とまり:船が停泊する所、港
しめ:目印や占有のしるしに結ぶ縄など
- 作者
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額田王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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人はよし思ひやむとも玉葛 影に見えつつ忘らえぬかも
- 次の歌
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やすみしし我ご大君の大御船 待ちか恋ふらむ志賀の唐崎