神風の伊勢の国にもあらましを
何しか来けむ君もあらなくに
- 歌の意味
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伊勢の国にいればよかったのに、どうして都へ来てしまったのだろう。あなたももういないのに。
- 鑑賞
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巻第二 挽歌 163
詞書「大津皇子の薨ぜし後に、大来皇女、伊勢の斎宮より京に上る時に作らす御歌二首」
弟の大津皇子が亡くなったのちに都へ戻り、伊勢にいればよかった、弟もいない都にどうして来たのだろうと嘆いた一首である。
標目に「藤原宮に天の下知らしめす天皇の代」とあり、詞書によれば、大津皇子の死後、大来皇女が伊勢の斎宮の任を解かれて都へ上るときの歌二首の一首目である。謀反の罪で死を賜った弟を悼む、姉の悲しみを伝える歌である。
作者の大伯皇女は、天武天皇の皇女で、大津皇子の同母の姉である。伊勢神宮に仕える斎宮を務めた。詞書では大来皇女と記される。
初句「神風の」は「伊勢」にかかる枕詞である。
二句「伊勢の国にも」は、伊勢の国にでもの意である。
三句「あらましを」の「まし」は反実仮想、「を」は詠嘆で、いればよかったのにの意。三句切れである。
四句「何しか来けむ」の「何しか」はどうしての意、「けむ」は過去の原因推量で、どうして来たのだろうの意。次歌の第百六十四首の四句も同じである。
結句「君もあらなくに」は、あなたももういないのにの意で、本巻の第百五十四首の石川夫人の歌の結句と同じである。
かむかぜ:「伊勢」にかかる枕詞
- 作者
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大伯皇女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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北山にたなびく雲の青雲の 星離り行き月を離れて
- 次の歌
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見まく欲り我がする君もあらなくに 何しか来けむ馬疲るるに