磯の上に生ふる馬酔木を手折らめど
見すべき君が在りと言はなくに
- 歌の意味
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岩のほとりに生えている馬酔木を手折ろうと思うけれど、見せるべきあなたが生きているとは誰も言わないのに。
- 鑑賞
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巻第二 挽歌 166
詞書は前の歌に続き「大津皇子の屍を葛城の二上山に移し葬る時に、大来皇女の哀傷して作らす御歌二首」
岩のほとりに咲く馬酔木を手折って見せたいと思っても、見せるべき弟はもうこの世にいないと嘆いた一首である。
大来皇女が大津皇子の移葬のときに作った歌二首の二首目で、作者は一連の詞書による。左注には、この歌は移葬の歌には似ておらず、伊勢の神宮から都へ帰る途中、道のほとりに花を見て悲しんで作った歌ではないかとある。
作者の大伯皇女は、天武天皇の皇女で、大津皇子の同母の姉である。伊勢神宮に仕える斎宮を務めた。詞書では大来皇女と記される。
初句「磯の上に」の「磯」は、水辺の岩の意である。
二句「生ふる馬酔木を」の馬酔木は、早春に白い小花を房のようにつける木である。
三句「手折らめど」の「め」は推量の助動詞「む」の已然形、「ど」は逆接で、手折ろうと思うけれどもの意である。
四句「見すべき君が」は、見せるべきあなたがの意である。
結句「在りと言はなくに」の「なくに」は〜ないのにの意で、あなたが生きているとは誰も言わないのにと嘆く。弟の不在をあらためて確かめる結びである。
あしび:アセビ。早春に白い小花をつける常緑低木
たをる:手で折る
- 作者
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大伯皇女
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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うつそみの人にある我れや明日よりは 二上山を弟背と我が見む
- 次の歌
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ひさかたの天見るごとく仰ぎ見し 皇子の御門の荒れまく惜しも