- 歌の意味
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沖の波が打ち寄せる荒磯を枕にして、寝ていらっしゃるあなたであることよ。
- 鑑賞
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巻第二 挽歌 222
詞書は前の歌に続き「讃岐の狭岑島にして石中の死人を視て、柿本朝臣人麻呂の作る歌、短歌二首」
沖から寄せる波の打ちつける荒磯を枕として横たわる死者に、あなたはここで眠っておられるのかと、敬意を込めて呼びかけた一首である。
讃岐の狭岑島で、岩の間に横たわる行き倒れの死者を見て、柿本人麻呂が作った挽歌で、長歌の第二百二十首に短歌二首が添えられている。狭岑島は今の香川県坂出市の沙弥島とされる。長歌では、船旅の途中で風を避けて島に寄り、荒磯を枕に横たわる死者を見て、その家族を思いやっている。本歌はその短歌二首の二首目である。
作者の柿本人麻呂は、持統天皇、文武天皇の時代に活躍した宮廷歌人で、長歌や挽歌にすぐれ、万葉集を代表する歌人である。後の時代には歌聖と称えられた。
初句「沖つ波」の「つ」は「の」の意の格助詞で、沖の波の意である。
二句「来寄る荒礒を」は、打ち寄せる荒磯をの意である。
三句「敷栲の」は「枕」にかかる枕詞である。本巻の第百九十五首も同じ枕詞で始まる。
四句「枕とまきて」の「まく」は枕にする意である。本巻の第八十六首の磐姫皇后の歌の「磐根しまきて」、次の第二百二十三首の「岩根しまける」と同じく、岩を枕に横たわる死の姿を描いている。
結句「寝せる君かも」の「寝す」は「寝」の尊敬語、「る」は存続、「かも」は詠嘆で、名も知らない死者に敬意を払い、寝ておられるあなたよと結ぶ。
ありそ:岩の多い荒々しい海岸
まく:枕にする
なす:お休みになる。「寝」の尊敬語
- 作者
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柿本人麻呂
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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妻もあらば摘みて食げまし沙弥の山 野の上のうはぎ過ぎにけらずや
- 次の歌
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鴨山の岩根しまける我れをかも 知らにと妹が待ちつつあるらむ