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いつの間も神さびけるか香具山の
桙杉の本に苔生すまでに

歌の意味
いつの間にこれほど神々しく古びたのだろうか。香具山の、桙のようにまっすぐな杉の根元に苔が生えるまでに。
鑑賞
巻第三 雑歌 259

詞書は前の歌に続き「鴨君足人の香具山の歌一首并せて短歌」の「反歌二首」
 香具山の歌の反歌の二首目である。杉の根元に苔が生すほど時が流れ、香具山がいつのまにか神々しく古びたことに驚いている。前歌の水鳥の棲む船に続き、苔の生した杉という景で、旧都の荒廃と歳月の長さを示している。
 作者の鴨足人は、鴨君の氏姓をもつ官人であるが、伝は未詳である。

 初句「いつの間も」 いつの間に、の意で、気づかぬうちに時が過ぎたことへの驚きを表している。
 二句「神さびけるか」 「神さぶ」は神々しく古びる意、「ける」は過去の助動詞「けり」の連体形、「か」は詠嘆である。ここで句切れとなる。
 三句「香具山の」 香具山は大和三山の一つで、天から降ったという伝承をもつ聖なる山である。
 四句「桙杉の本に」 桙杉は桙のようにまっすぐ伸びた杉である。八音の字余りとなっている。
 結句「苔生すまでに」 苔が生えるほどに、の意である。二句に対する倒置で、神さびた理由を後から示している。前歌の「船の上に棲む」に続き、歳月の経過を具体的な景で表している。

ほこすぎ:桙のようにまっすぐに伸びた杉
かむさぶ:神々しく古びる
作者
鴨足人
出典
万葉集
前の歌
人漕がずあらくもしるし潜きする 鴛鴦とたかべと船の上に棲む
次の歌
矢釣山木立も見えず降りまがふ 雪に騒ける朝楽しも