いづくにか我は宿らむ高島の
勝野の原にこの日暮れなば
- 歌の意味
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どこに私は宿をとったらよいのだろうか。高島の勝野の原で、この日が暮れてしまったならば。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 275
詞書は前の歌に続き「高市連黒人の羈旅の歌八首」
黒人の羈旅の歌八首の六首目である。近江の高島の勝野の原で日が暮れかかり、今夜の宿をどこに求めればよいのかと途方に暮れる旅人の心細さを詠んでいる。広い原にひとり立つ旅人の姿が浮かぶ。勝野は琵琶湖西岸、現在の滋賀県高島市勝野のあたりである。
黒人の羈旅の歌八首は、摂津、尾張、近江、三河、山城など、各地の旅で詠まれた歌を集めた一連である。
作者の高市黒人は持統朝から文武朝にかけての歌人で、旅の歌にすぐれ、遠ざかるものを見つめる孤独なまなざしの叙景に独自の境地を開いた。伝は未詳である。
初句「いづくにか」 どこに、の意で、「か」は疑問の係助詞である。
二句「我は宿らむ」 「む」の連体形で結ぶ係り結びで、私は宿をとればよいのだろうか、の意である。ここで句切れとなる。
三句「高島の」 高島は近江国の郡名である。
四句「勝野の原に」 勝野は高島にある原野の名である。
結句「この日暮れなば」 「な」は完了の助動詞「ぬ」の未然形、「ば」は仮定条件で、この日が暮れてしまったら、の意である。倒置によって、宿を案じる理由を後から示している。
やどる:旅先で宿をとる
- 作者
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高市黒人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が舟は比良の港に漕ぎ泊てむ 沖へな離りさ夜更けにけり
- 次の歌
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妹も我れも一つなれかも三河なる 二見の道ゆ別れかねつる