よろしなへ我が背の君が負ひ来にし
この背の山を妹とは呼ばじ
- 歌の意味
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いかにもふさわしいことに、あなたが名として背負ってきたこの背の山を、妹とは呼ぶまい。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 286
詞書「春日蔵首老の即ち和ふる歌一首」
前歌の丹比笠麻呂の問いかけに、その場ですぐに答えた歌である。背の山は、ちょうどよく「背」の名を背負ってきたのだから、妹とは呼ぶまいと、相手の戯れをやんわりと退けている。「背の君」と「背の山」を掛け合わせた当意即妙の応答である。
作者の春日老は、もと弁基という名の僧であったが、大宝元年(701)に還俗して春日蔵首老の名を賜った。のちに常陸介などを務めた。
初句「よろしなへ」 ちょうどふさわしく、の意の副詞である。
二句「我が背の君が」 背の君は親しい男性への呼称で、ここでは丹比笠麻呂を指す。「背」の語を山の名と響き合わせている。
三句「負ひ来にし」 「負ふ」は名として持つ意で、名として背負ってきた、の意である。
四句「この背の山を」 前歌の四句「この背の山に」を受けて答えている。
結句「妹とは呼ばじ」 「じ」は打消の意志で、妹とは呼ぶまい、と前歌の問いに答えて結んでいる。
おふ:名として持つ、背負う
- 作者
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春日老
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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栲領巾の懸けまく欲しき妹が名を この背の山に懸けばいかにあらむ
- 次の歌
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ここにして家やもいづく白雲の たなびく山を越えて来にけり