真木の葉のしなふ背の山偲はずて
我が越え行けば木の葉知りけむ
- 歌の意味
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真木の葉がしなやかに茂る背の山を、心にかけて賞でることもなく私が越えて行ったので、木の葉はそれを知っただろうか。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 291
詞書「小田事の背の山の歌一首」
紀伊の背の山を越えた時の歌である。美しく茂る背の山を、ゆっくり賞でることもなく越えて行ったのを、山の木の葉は知っていて恨んだだろうか、と山に対する心残りと詫びの気持ちを詠んでいる。本巻の第二百八十五首、第二百八十六首に続いて背の山を詠んだ歌が配されている。
作者の小田事は奈良時代の人物であるが、伝は未詳である。
初句「真木の葉の」 真木は杉や檜などの良材となる木である。
二句「しなふ背の山」 「しなふ」はしなやかにたわむ意で、葉が茂り枝がしなうさまである。「しなふ」と三句の「偲ふ」が音を響き合わせている。
三句「偲はずて」 「偲ふ」は心にかけて賞でる意で、それをしないで、の意である。
四句「我が越え行けば」 私が越えて行ったので、の意である。
結句「木の葉知りけむ」 「けむ」は過去推量で、木の葉は知っただろうか、と山を擬人化して結んでいる。
しなふ:しなやかにたわむ
しのふ:心にかけて賞でる、思い慕う
まき:杉や檜などの良材となる木
- 作者
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小田事
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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倉橋の山を高みか夜隠りに 出で来る月の光乏しき
- 次の歌
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ひさかたの天の探女が岩船の 泊てし高津はあせにけるかも