- 歌の意味
-
風が激しいので、沖の白波が高いらしい。漁師の釣舟が浜に帰ってきた。
- 鑑賞
-
巻第三 雑歌 294
詞書は前の歌に続き「角麻呂の歌四首」
角麻呂の歌四首の三首目である。漁師の釣舟が早々と浜に戻ってきたのを見て、沖では風が強く白波が高いのだろうと推し量っている。目の前の景から見えない沖の様子を想像する構成で、海辺の緊張感が伝わる。
角麻呂の歌四首は、難波の高津、御津、住吉など、摂津の海辺の地を詠んだ一連である。
作者の角麻呂は伝未詳の人物である。
初句「風をいたみ」 「を〜み」で原因を表し、風が激しいので、の意である。
二句「沖つ白波」 「つ」は「の」にあたる上代の格助詞で、沖の白波の意である。
三句「高からし」 「高かるらし」のつづまった形で、高いらしい、と根拠のある推定を表す。ここで句切れとなる。
四句「海人の釣舟」 漁師の釣りの舟である。
結句「浜に帰りぬ」 「ぬ」は完了で、浜に帰ってきた、と推定の根拠となる景を示して結んでいる。
つりぶね:漁をする舟
- 作者
-
角麻呂
- 出典
-
万葉集
- 前の歌
-
潮干の御津の海女のくぐつ持ち 玉藻刈るらむいざ行きて見む
- 次の歌
-
住吉の岸の松原遠つ神 我が大君の幸しところ