- 歌の意味
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昼に見ても見飽きることのない田子の浦を、大君の仰せを恐れ謹んで旅を急ぐので、夜に見たことだ。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 297
詞書は前の歌に続き「田口益人大夫、上野国司に任けらゆる時に、駿河の浄見の崎に至りて作る歌二首」
前歌と一組の歌である。昼に見ても飽きない田子の浦の美しい景色を、任地へ急ぐ公務の旅であるために、夜に通り過ぎながら見るしかなかったと惜しんでいる。景の美しさと、天皇の命を受けた官人の立場とが対比されている。
作者の田口益人は奈良時代初めの官人で、和銅元年(708)に上野守に任じられた。
初句「昼見れど」 昼に見ても、の意で、「ど」は逆接である。
二句「飽かぬ田子の浦」 見飽きることのない田子の浦、の意で、八音の字余りである。田子の浦は駿河湾の海岸である。
三句「大君の」 天皇を指す。
四句「命畏み」 天皇の命令を恐れ謹んで、の意である。
結句「夜見つるかも」 夜に見たことだ、の意で、初句の「昼」と「夜」が対照されている。「かも」の詠嘆に、ゆっくり眺められなかった心残りがこもる。
みこと:天皇の仰せ、命令
かしこむ:恐れ謹む
- 作者
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田口益人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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廬原の清見の崎の三保の浦の ゆたけき見つつ物思ひもなし
- 次の歌
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真土山夕越え行きて廬前の 角太川原にひとりかも寝む