伊勢の海の沖つ白波花にもが
包みて妹が家づとにせむ
- 歌の意味
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伊勢の海の沖の白波が花であったらなあ。包んで持ち帰り、妻への土産にしよう。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 306
詞書「伊勢国に幸せる時に、安貴王の作る歌一首」
天皇の伊勢行幸に従った時の歌である。沖に立つ美しい白波を花に見立て、もし花であったなら包んで家の妻への土産にしようと、旅先の景の美しさと妻への思いを重ねている。白波を花にたとえる発想が新鮮で、持ち帰れない美しさへの憧れが表れている。行幸は元正天皇の養老二年(718)とする説などがある。
作者の安貴王は志貴皇子の孫で、春日王の子とされる奈良時代前期の王族である。
初句「伊勢の海の」 伊勢の海の、の意で、六音の字余りである。
二句「沖つ白波」 沖の白波の意である。
三句「花にもが」 「もが」は願望の終助詞で、花であったらなあ、の意である。ここで句切れとなる。
四句「包みて妹が」 花なら包んで、妻の、の意である。
結句「家づとにせむ」 家づとは家への土産、「む」は意志で、土産にしよう、と妻への思いで結んでいる。
いへづと:家へ持ち帰る土産
- 作者
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安貴王
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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かく故に見じと言ふものを楽浪の 旧き都を見せつつもとな
- 次の歌
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はだ薄久米の若子がいましける 三穂の石室は見れど飽かぬかも