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藤波の花は盛りになりにけり
奈良の都を思ほすや君

歌の意味
藤の花は盛りになった。奈良の都を恋しくお思いになりますか、あなたは。
鑑賞
巻第三 雑歌 330

詞書は前の歌に続き「防人司佑大伴四綱の歌二首」
 大宰府で藤の花が盛りになったのを見て、大宰帥の大伴旅人に、奈良の都を思い出されますかと問いかけた歌である。藤の花の盛りが、都の華やかさを思い起こさせるきっかけとなっている。この問いかけを受けるように、次歌から旅人の都や故郷をしのぶ歌五首が続いている。
 作者の大伴四綱は奈良時代の官人で、大宰府の防人司の佑であった。

 初句「藤波の」 藤波は藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえた語である。
 二句「花は盛りに」 花は盛りに、の意である。
 三句「なりにけり」 「にけり」は完了と気づきの詠嘆で、ここで句切れとなる。
 四句「奈良の都を」 平城京を指し、前々歌の小野老の歌の「奈良の都は」と響き合っている。
 結句「思ほすや君」 「思ほす」は「思ふ」の尊敬語、「や」は疑問で、お思いになりますか、あなたは、と大伴旅人に呼びかけて結んでいる。

ふぢなみ:藤の花房が風に揺れるさまを波にたとえた語
おもほす:お思いになる
作者
大伴四綱
出典
万葉集
前の歌
やすみしし我が大君の敷きませる 国の中には都し思ほゆ
次の歌
我が盛りまたをちめやもほとほとに 奈良の都を見ずかなりなむ