浅茅原つばらつばらにもの思へば
古りにし里し思ほゆるかも
- 歌の意味
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しみじみとあれこれ物思いにふけっていると、昔住んだ故郷のことが思い出されてならない。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 333
詞書は前の歌に続き「帥大伴卿の歌五首」
帥大伴卿の歌五首の三首目である。遠い筑紫でつくづくと物思いにふけっていると、故郷の古い里のことが自然と思い出されると、しみじみとした望郷の思いを詠んでいる。「浅茅原」から「つばらつばら」へと音を重ねた調べが、思いの深さを伝えている。
帥大伴卿の歌五首は、大宰府で奈良の都や故郷をしのんだ一連で、小野老や大伴四綱の歌に続けて配されている。
作者の大伴旅人は大伴安麻呂の子で、中納言、大宰帥を経て大納言に至り、天平三年(731)に没した。漢詩文の教養に富み、大宰帥として筑紫にあった時には、山上憶良らとともに歌の交流の中心となった。
初句「浅茅原」 浅茅原は丈の低い茅の生えた野原で、同音の繰り返しから「つばら」を導く枕詞である。
二句「つばらつばらに」 つくづくと、しみじみと、の意の副詞である。
三句「もの思へば」 物思いにふけっていると、の意である。
四句「古りにし里し」 古りにし里は古くなった里、昔住んだ故郷で、明日香のあたりを指すとされる。「し」は強意の副助詞である。
結句「思ほゆるかも」 自然と思われることだ、の意で、「かも」の詠嘆で結んでいる。
あさぢはら:丈の低い茅が生えている野原
ふる:古くなる、年月を経る
- 作者
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大伴旅人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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我が命も常にあらぬか昔見し 象の小川を行きて見むため
- 次の歌
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忘れ草我が紐に付く香具山の 古りにし里を忘れむがため