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しらぬひ筑紫の綿は身に付けて
いまだは着ねど暖けく見ゆ

歌の意味
筑紫の綿は、まだ身につけて着たことはないが、いかにも暖かそうに見える。
鑑賞
巻第三 雑歌 336

詞書「沙弥満誓の綿を詠む歌一首」と注「筑紫の観音寺を造る別当なり。俗姓は笠朝臣麻呂なり」
 筑紫の名産である真綿を詠んだ歌である。まだ身につけて着たことはないが、見るからに暖かそうだと、筑紫の綿の良さをたたえている。綿を筑紫の女性にたとえ、まだ親しんではいないが心ひかれると寓した歌とみる説もある。筑紫の綿は大宰府から都へ貢進された特産品であった。
 作者の満誓は俗名を笠麻呂といい、美濃守などを務めたのち出家し、造筑紫観世音寺別当として大宰府に下った。

 初句「しらぬひ」 「筑紫」にかかる枕詞で、四音の字足らずである。
 二句「筑紫の綿は」 筑紫の綿は、蚕の繭から作る真綿のことで、筑紫の名産であった。
 三句「身に付けて」 身にまとって、の意である。
 四句「いまだは着ねど」 「ね」は打消の助動詞「ず」の已然形、「ど」は逆接で、まだ着てはいないけれど、の意である。
 結句「暖けく見ゆ」 暖かそうに見える、の意で、見た目からの印象で綿の良さをたたえて結んでいる。

わた:真綿。蚕の繭から作った綿
作者
満誓
出典
万葉集
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