賢しみと物言ふよりは酒飲みて
酔ひ泣きするしまさりたるらし
- 歌の意味
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賢そうにものを言うよりは、酒を飲んで酔い泣きするほうがまさっているらしい。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 341
詞書は前の歌に続き「大宰帥大伴卿の酒を讃むる歌十三首」
大宰帥大伴卿の酒を讃むる歌十三首の四首目である。賢そうに理屈を述べるよりも、酒を飲んで酔い泣きするほうがよいと述べ、世の賢しらを退けている。取り繕わない率直な感情の表出を、うわべの賢さよりも尊いものとみる旅人の考えが表れている。
讃酒歌十三首は、大宰府にあった旅人が酒をたたえることを通して、世の賢しらを退け、人生の憂いを慰める思いを詠んだ一連で、中国の竹林の七賢などの故事を踏まえている。
作者の大伴旅人は大伴安麻呂の子で、中納言、大宰帥を経て大納言に至り、天平三年(731)に没した。漢詩文の教養に富み、大宰帥として筑紫にあった時には、山上憶良らとともに歌の交流の中心となった。
初句「賢しみと」 「賢し」の語幹に「み」がついた形で、賢いと思って、賢そうに、の意である。
二句「物言ふよりは」 ものを言うよりは、の意である。
三句「酒飲みて」 酒を飲んで、の意である。
四句「酔ひ泣きするし」 酔い泣きすることが、の意で、「し」は強意の副助詞である。「酔ひ泣き」は一連の十首目と十三首目にも用いられ、一連を貫く語となっている。
結句「まさりたるらし」 まさっているらしい、の意で、「らし」の推定で結んでいる。
ゑひなき:酒に酔って泣くこと
- 作者
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大伴旅人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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いにしへの七の賢しき人たちも 欲りせしものは酒にしあるらし
- 次の歌
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言はむすべ為むすべ知らず極まりて 貴きものは酒にしあるらし