あな醜賢しらをすと酒飲まぬ
人をよく見ば猿にかも似む
- 歌の意味
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ああ見苦しい。賢こぶって酒を飲まない人をよく見たら、猿に似ているのではなかろうか。
- 鑑賞
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巻第三 雑歌 344
詞書は前の歌に続き「大宰帥大伴卿の酒を讃むる歌十三首」
大宰帥大伴卿の酒を讃むる歌十三首の七首目である。利口ぶって酒を飲まない人を、よく見れば猿に似ているだろうと、痛烈に皮肉っている。酒をたたえる裏返しとして、うわべの賢さを気取る人々を諧謔をもって批判しており、旅人の反骨の心がうかがえる。
讃酒歌十三首は、大宰府にあった旅人が酒をたたえることを通して、世の賢しらを退け、人生の憂いを慰める思いを詠んだ一連で、中国の竹林の七賢などの故事を踏まえている。
作者の大伴旅人は大伴安麻呂の子で、中納言、大宰帥を経て大納言に至り、天平三年(731)に没した。漢詩文の教養に富み、大宰帥として筑紫にあった時には、山上憶良らとともに歌の交流の中心となった。
初句「あな醜」 「あな」は感動詞、「醜」は形容詞「醜し」の語幹で、ああ見苦しい、の意である。ここで句切れとなる。
二句「賢しらをすと」 賢しらは利口ぶること、「と」は理由を表す。賢こぶって、の意である。
三句「酒飲まぬ」 酒を飲まない、の意である。
四句「人をよく見ば」 「見ば」は仮定条件で、よく見たならば、の意である。
結句「猿にかも似む」 「か」は疑問、「む」は推量で、猿に似ているのではないか、と皮肉を込めて結んでいる。
さかしら:利口ぶること
- 作者
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大伴旅人
- 出典
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万葉集
- 前の歌
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なかなかに人とあらずは酒壺に なりにてしかも酒に染みなむ
- 次の歌
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価なき宝といふとも一杯の 濁れる酒にあにまさめやも